2018.10.07
国立がん研究センター研究所 落谷孝広先生の特別講演会
バイオ
国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野 プロジェクトリーダー、東京医科大学医学総合研究所 分子細胞治療研究部門 教授の落谷 孝広先生をお招きし、学生に講演をして頂きました
落谷先生は、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に関連する細胞内のmiRNA(マイクロアールエヌエー)を研究され、エクソソームこそががんの転移の元凶であることを突きとめられた、日本を代表する研究者のお一人です
「がんが血液1滴でわかる時代」をテーマに、最新のがん研究とその成果、そしてこれからの展望についてお話しして頂きました
日本人の2人に1人ががんに罹患する時代。
国立がん研究センター研究所では、がんにならない、がんに負けない、がんと生きる社会をめざし、研究成果を患者さんに役立て、社会に還元することを使命として、研究を続けておられます
これまではがんの治療と言えば、抗がん剤を使用してがんをなんとかやっつけようとしていましたが、がん細胞だけをピンポイントで攻撃することは非常に難しく、人によっては大きな副作用も起こります。
そこで現在は、がん細胞を殺そうとするのではなく、がん細胞によって疲弊したがんの微小環境を元に戻し、うまくコントロールするというアプローチでの研究を進めておられるそうです
その最初のステップとして「がんを早く見つける」ために注目されているのがmiRNAです
miRNAは体内で情報伝達を担っているメッセージ物質で、その種類は2600個以上もあります。
落谷先生はこのmiRNAが血液中にも存在し、特定のmiRNAが特定のガンで上昇することを発見されました
さらにその後の研究で、日本人に特徴的な13種類のがんすべてについて、関連するmiRNAを特定されたそうです
しかもこのmiRNAは、あらゆる体液中に存在して、血液や唾液、汗や尿などほんの1滴から分析することができるそうです。
痛い検査を受けなくても病気かどうかが診断できるってすごいことですよね

今後は、さらにマイクロRNAを分析することで、がんを含むあらゆる疾患を未病の状態で見つけ、「病気にならないための医療」をテーマに研究を進めていかれるそうです。
食事によって乱れたmiRNAを治す「miR-AI(ミライ)レストラン
」構想についてもお話し頂きました
最先端の研究成果のお話しに、みんないつも以上に真剣に、興味津々で聞き入っていましたよ
講演の最後は研究者を目指すobmのみんなへの熱いメッセージ。
「物事を進めるとき、自分自身が作る垣根、他人が作り上げた定説などの垣根など、いろんな垣根を乗り越えることができるかどうかで結果は大きく変わります。
病気の研究にもいろんなアプローチがあり、まだまだ技術革新も必要です。
新しいことにチャレンジして、病気で苦しむ患者さんをぜひ救ってください。みなさんの力に期待しています
」
落谷先生、貴重なご講演を頂きましてありがとうございました

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